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インスペクション等

インスペクションなどの調査

「協議会の取組み」のコンテンツでご紹介したNPO法人こおりやま既存住宅流通促進協議会が開発した仕組みのベースになるものが、既存住宅の品質の可視化を図るために実施する各種調査です。
以下では、当協議会が用意している各種調査(インスペクションシロアリ検査非破壊検査機器の活用による動的耐震診断ファイバーカメラによる管路調査)と、調査結果を受けて実施するJAREA-HASによる価格査定についてご紹介します。

■インスペクション(建物状況調査)

インスペクション(建物状況調査)とは、国土交通省の定める講習を修了した建築士が、建物の基礎、外壁など建物の構造耐力上主要な部分及び雨水の浸入を防止する部分に生じているひび割れ、雨漏り等の劣化・不具合の状況を把握するための調査です。

売主にとっては、売却を検討する物件の調査時点における状況を確認することで、①改正民法における「契約不適合責任」への対応がしやすくなる、②資産価値を反映した適正な売出価格を設定できるなどのメリットがあります。

買主にとっては、購入を検討する物件の調査時点における状況が確認できることで、①より安心して購入の判断ができる、②メンテナンスの見通しが立てやすくなるなどのメリットがあります。

【インスペクションについての国土交通省パンフレット】

NPO法人こおりやま既存住宅流通促進協議会では、国土交通省の定める講習を修了し、豊富な実務経験を有する建築士が、同省の定める基準に従い目視と計測により建物の状況に関する調査を行ない報告書に取りまとめます。

NPO法人こおりやま既存住宅流通促進協議会による実際の調査例

レーザー水平器による床の傾斜の確認

下げ振りによる柱の傾斜の確認

水平器による内壁の傾斜の確認

小屋裏の状況の確認

調査で実際に確認された外壁タイルのひび割れ

調査で実際に確認された外壁タイルの目地の破断

■シロアリ検査、動的耐震診断、管路調査

インスペクション(建物状況調査)は国土交通省の定める講習を修了した建築士が、目視と計測(下げ振りや水平器などを使用)によって、建物の状況を把握するものですが、NPO法人こおりやま既存住宅流通促進協議会では、このほかに、蟻害確認の専門技術者によるシロアリ検査、非破壊検査機器の活用による動的耐震診断、ファイバーカメラによる管路調査を用意しています。

○シロアリ検査

シロアリによる被害(蟻害)は特別なものではなく、一定年数を経過する既存住宅であれば、どの住宅でも被害を受ける可能性があります。
インスペクション(建物状況調査)による蟻害の確認が床下点検口などから目視可能な範囲で行うのに対して、専門技術者によるシロアリ検査は、実際に床下に潜り隅々まで蟻害の有無を確認するほか、シロアリが侵入しやすい玄関のたたきや、水回りに近い外壁の立ち上がり部等を専門技術者としての知見を活かして入念にチェックします。この結果、建築士によるインスペクション(建物状況調査)で確認できなかった蟻害が、専門技術者によるシロアリ検査で発見されることもあります。
NPO法人こおりやま既存住宅流通促進協議会では、建築士によるインスペクション(建物状況調査)とともに、専門技術者によるシロアリ検査も既存住宅にとって必須の調査と考えています。

NPO法人こおりやま既存住宅流通促進協議会による実際の調査例

確認された蟻道

確認された畳下幅木被害

確認された畳被害

<参考>土壌薬剤散布処理(調査とは別途)

<参考>木部薬剤吹付処理(調査とは別途)

<参考>薬剤注入処理(調査とは別途)

○非破壊検査機器の活用による動的耐震診断

インスペクション(建物状況調査)は建築士が、目視と計測によって建物の状況を把握するものですが、外形から観察可能な不具合等の把握にとどまるため、構造的な問題や建物の内部劣化に伴う耐震性の不足については十分な確認ができないことがあります。
これを補うのが非破壊検査機器を用いた動的耐震診断です。
NPO法人こおりやま既存住宅流通促進協議会が提供する動的耐震診断は、専門技術者が診断機器により建物に微弱な地震波を与え、その建物がどの程度の地震まで安全かを具体的なデータで示します。また、地下探査機を用いて地盤調査を行い、地盤の強度とともに液状化の可能性及び地盤と建物の共振の可能性を推定します。これにより、地震時の安全性が定量的なデータで示され、定性的な調査であるインスペクション(建物状況調査)と併せて活用することで、建物の客観的な状態がより明らかになります。

NPO法人こおりやま既存住宅流通促進協議会による実際の調査例

室内に設置した起振器

室内に設置したY中央検出器

計測器でのデータ受信

地盤調査

○ファイバーカメラによる管路調査

給排水管の内部の劣化状況は、目視できないため通常は確認が困難です。NPO法人こおりやま既存住宅流通促進協議会では、給排水設備の専門技術者が給排水管にファイバーカメラを挿入して給排水管内部の劣化状況を確認する調査を行います。
調査結果報告書では、管路の状況の説明を行うとともに、ファイバーカメラで撮影した管路内部の写真を添付し建物の可視化に寄与します。また、給排水設備は建物本体と比較して更新時期が短いため、今後の資金計画を立てやすくするように、報告書の中で必要に応じ給排水設備の更新時期と概ねの更新費用を参考表示します。

NPO法人こおりやま既存住宅流通促進協議会による実際の調査例

外部排水管のファイバーカメラ調査

内部排水管のファイバーカメラ調査

ファイバーカメラで撮影された管路内部の状況

ファイバーカメラで撮影された管路内部の状況

■JAREA-HASによる価格査定

これまで日本の住宅は建築後20年~25年で価値がゼロになるような価格査定を行われてきました。その背景としては、不動産市場において良質性を評価する仕組みが整備されていなかったため、住宅所有者が自己の住宅に対し十分な維持管理をしてこなかったことが挙げられます。
NPO法人こおりやま既存住宅流通促進協議会は、そのような悪循環を打破すべく、インスペクション(建物状況調査)等を行って建物の状況が明らかになった住宅については、不動産鑑定士がJAREA-HAS(Japan Association of Real Estate Appraisers - house appraisal system)を活用してその資産価値に見合った適正評価を行います。
JAREA-HASは、公益社団法人日本不動産鑑定士協会連合会が開発した既存戸建住宅の建物積算価格査定システムです。一般社団法人建設物価調査会の再調達原価査定システム(JBCI)を組み込み、最新のデータに基づく再調達原価を査定できるほか、減価修正においては、過去に実施された増改築(リフォーム)による当該部分の耐用年数の延長等を価格に反映させることができます。その有用性が認められ、平成27年5月に自民党政務調査会から発出された「中古住宅市場活性化に向けた提言」でもその活用が推奨されています。
NPO法人こおりやま既存住宅流通促進協議会では、インスペクション(建物状況調査)等の各種調査結果をJAREA-HASの算定過程に織り込むことにより、建物の状況に即した価格査定を実現します。そのうえで、各種調査によって建物の「可視化」が向上(不具合に関する不安感が軽減)し、流通性への寄与が認められる点についても、適切に考慮して調査価格を決定します。
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